筆写 ~ 野口雨情『鳴子引』より

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河原鶸(かわらひわ)とは鳥の名。

「かづぎし」は「被(かづ)く」で、かぶるの意。

河原蓬(かわらよもぎ)は植物の名。

『鶸』の字は、手元の字典には掲載がなく、

偏部の【弱】と旁部の【鳥】との大きさや

位置を変えて色々書き比べてみたけれど、

ひとまず上の筆写のものに落ち着いた。

ところで五・七 のリズムを

心地よく感じるのはなぜだろう・・・?

本能的に備わる感覚?

教育等で触れてきたことによる刷り込み?

また、表現の風情、わびさび、など。

これらを、そう感じさせるものは

いったい何だろう?

なんらかの想像を掻き立てるもの、

あえて表現しつくされていない、

あるいは表現しきれない、

ある種の余白とも言えるような、

そういったものに対する感覚だろうか?

筆写文章

河原鶸鳴く淀川の

小笠かづぎし花娘

河原蓬の枯れし葉に

かへる小舟の艪が響く

  野口雨情『鳴子引』より