筆写 ~ 三好達治『鮒』より

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子供の頃、鮒(ふな)釣りを楽しんだ

ことを思い出します。

はじめて30センチほどの鮒を釣った

時には、家に持って帰って、両親に

その食べ方を相談したものです。

ただその時は、

「鮒はどうやって食べるのか分からない」

との理由により、釣った池に放ちました。

今であれば、クックパッドなりと

インターネットで簡単に検索できます

けどね。

鮒釣りは、じっとウキを見つめて過ごす

あの時間がなんとも心地よいのです。

いつしか、何かを得るための時間の

使い方なんていうものを意識するように

なったがゆえに、逆に心地よき時間の

過ごし方が下手になっていたような

気がします。

まぁ、その感覚に気づけたので、

今はまた子供の頃のような時間を

意識できて、それを取り戻しつつ

あるのですが。

本当に大切なことは、

心が純粋だった(笑)頃に、

すでにちゃんと実践していたのかも

しれません。

筆写文章

土を掘つて 甕(かめ)を埋め

水を滿たし 鮒(ふな)を放つた

窗(=窓)下の秋

芭蕉(ばしょう)の蔭(かげ=陰)に

時たま彼らは音をたてる

  三好達治『鮒』より