賣卜先生糠俵 ~孝行(一)~

賣卜先生糠俵ばいぼくせんせいこぬかたわら

でんぼく選 其の一です(笑)

丁寧に調べた上で書き記したつもりですが、

字の認識違い等がありました場合には、

教えていただければ幸いです。

 ※ルビは現代仮名遣いにしてます

 ※[ ]は、変体仮名の元となる漢字です

其次そのつぎは[八]誰じや

これは[八]もとより[里]下京しもぎょうに[爾]

住居すまいす[春]る好風こうふうもうす按摩あんまに[爾]てそうろう

我母われははの親をもち心一杯孝行をつくども

あ[阿]る夜不思議の夢も見ず[須"]

今に[爾]釜も堀出ほりださねば[年八"]

昔しに[爾]変らぬ[怒]まずしき[起]暮し

天道てんとういまだ[多"]御存知なきか[起可]

ただしは[八]誰ぞと間違まちがいは致さぬか[歟]

御考おんかんがえたまは[八]るべし

翁笑おきなわらいしのんいわくそれ孝は[八]

子たる[多累]者の[能]可尽つくすべき役に[爾]て

つくすなり

その可尽つくすべき役に[爾]て尽す[須]孝行

何の不思議ありてか[可]さいわいまたん

扨又さてまた不幸なる者は[八]雷に[爾]も打たれ[連]

じゃに[爾]ものまれん

これ可尽つくすべき役の孝行を不盡つくさざる天罰なり

可尽つくすべき役の[農]孝行を尽し

さいわいの来るをまつは[八]

あたいとっかごをかき[可起]その乗せた[多]るを

恩に[爾]着せえきむさぼかごかき同前どうぜん

まことの孝行は[八]不然しからず

孝行を孝行と思はず[八須"]して

孝行を尽す[須]

これ心に[爾]尽し足ざれば[八"]なり

なんじは[八]みずから孝行を孝行と思へり[里]

孝行を孝行と思ひて尽す[須]孝行は[八]

孝行に[爾]かぎり[里]あり

きのふは[八]何程なにほどの孝行を尽し

け[介]ふは[八]是ゝこれこれの[能]孝を尽しぬ[怒]

明日あすも何が[可"]なよき孝行が[可"]

尽した[多]いと孝行をこしらへて尽す[須]

これは[八]ただ親をよろこば[八"]しめんと[登]

へつらへる孝行なり

これ佐平治さへいじ孝行とて世間に[爾]

(まゝある孝行也 ※次頁分)

次回に続く