筆写 ~ 河上肇『心平』より

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「これくらいの物なら自分で作れる」

とは、芸大出身のお嫁さんがよく言うセリフ。

彼女のお友達(芸大の)も同様のようです。

ちなみにお嫁さんの学生時代には

「これ、ほんまに

 日本人が作ったものか・・・?」

と、教授に言わせしめたようですが・・・。

私もモノづくりは好きなタチで、

一度作り始めると黙々と作業を続けます。

子供の頃などは特に

あれやこれやと手を動かして

作ってみること自体が遊びになっていました。

歳を重ねるにつれ、意に反して

かしこくなってしまった(?)私は、

作る手間がどうのこうのと考えて、

結局は作られたものを買ってしまう

ようになっています。

自分たちの得手不得手を

お互いに補い合って

心地よく生きていこうとするのが

社会というものだとすると、

作られたものを買うということに

さして違和感は湧きませんが、

「手間がどうのこうの」と考える自分に

ふと違和感が生じた昨晩の寝床の中です。

その「手間」こそが遊びだった時代。

今は、その「手間」を省くことを考えて、

一体何を遊ぼうとしてるんだろう。

欲張れば、あれやこれやと楽しそうな

ことはいくらでも挙げられるけれど、

そんなことばかりで頭がいっぱいに

なっていたとしたら、それはもはや

私にとっての「遊んでいる」ではない

よなぁ・・・と。

筆写文章

心平かにして厭夢(えんむ)なく、

身静かにして良朋(りょうほう)あり。

此の残春の夕(ゆうべ)を愛し、

悠然として月の昇るを待つ。

  河上肇『心平』より