『丁寧』は緊張知らず

丁寧に書こうとすると
いつの間にか力(りき)んでいます。
「きれいに書かなきゃ」って意識が
働きすぎているんですかね?

だいぶ以前の話だけれど、

字のレッスンをしていた際に

生徒さんからいただいた質問だ。

私自身、とても長い間その状態に

陥っていたので、すごく共感する。

今でも気がつくと力んでいる時があり、

まだまだ修行中のでんぼくだ。

生徒さんとはLINEでやり取りを

していたので、そんな共感も併せて

返信メッセージを打ち込んでいたのだが、

その時にふと、自分の中にあった

おぼろげな理想というか感覚というものを

言語化できて、自分で納得してしまった(笑)

『きれいに』と『丁寧に』とは
似て非なる部分があって、
『きれいに』には緊張感が伴って、
『丁寧に』には緊張感が伴わない。

「うまくやろうと意識すると

別に新しい発見でもなんでもなく、

こわばって力を発揮できなくなる」

とは、よく見聞きする話だ。

だから、

「うまくやろう」とせずに

「〇〇」に集中すべし

みたいな流れになるのだけれど、

なぜか書写の練習時になかなか

それに気づいてこれなくて。

しょっちゅう力んで疲れていた。

そんな私自身の経験があったので

この ” 言語化の成功 ” には、

リンゴが木から落下したのを見た

ニュートンが、万有引力の発想を

得たのと同じくらいの感覚でいる(笑)

まぁ、誰の目の前でも緊張感を持たずに

書けるのかと言われると、まだまだ

『きれいに』『うまく』の意識を排除

しきれておらず、上にも書いたように

でんぼくも修行中の身なのだ。

でも、本当にその通りで、

それは決して書写に限らず、

だと考えている。

私は、書写を通して得られる感覚は

書写に限らず他の物事にも通じるものが

あると思っているので(もちろんその

逆もしかり)、日常生活の中にも

そういった感覚を意識して取り入れる

ようにしている。

「やる事は違えど、本質的な部分は同じ」

最近は強くそう思う。

皆が皆とは決して言えないけれど、

『きれいに』『上手く』やろうとすると

たいがいしんどくなっていくのがオチだ。

余計な力が入って、身体や思考がこわばって

そっちにエネルギーがどんどん漏れていく。

そんな感じ。

そして『きれいに』『上手く』いかなかった

と自分が感じた時には、これまた負の感情で

大きなエネルギーが漏れていく、みたいな。

だから、『きれいに』書こうとして

なんだかいつも悩ましい結果に終わって

いらっしゃる方は、ぜひともこの

『丁寧に』という言葉を強く意識して書く

ことをおススメしたい。

ちなみに、人は、一度認識したことでも

すぐに忘れてしまう生き物。

このでんぼくは、特にその傾向にある。

都度、『丁寧に』を思い出すようにして、

『丁寧に』のその先につながる美しさを

お互い追求していきたい。