筆写 ~ 松濤明『ピークハンティングに帰れ』より
著者の松濤氏にとっては、
登山の魅力は登頂(頂きに達する)を
成し遂げることらしい。
頂きの概念を横に置いて、ルートの踏破
それ自体をメインに置くスポーツ登山
(ルートハンティング)を嘆いている
節がある。
ルートは登頂への手段であり、
その手段の魅力を楽しむのはいいが、
登頂という目的を見失わないでくれ、
と言っているようだ。
まぁ、何事においても
その目的は人それぞれだとして、
では、書写について
その鍛錬をする目的とは・・・?
書写についても、
人によって目的は異なるだろうし、
時に応じてその目的が変化する
こともあるだろう。
私は、自身の書写の鍛錬の在り方が
その目的にしっかりと向かっている
ものかどうか、今一度考えてみる。
私にとって書写の鍛錬は、
あくまでもルート(手段)だ。
そのルートを歩いて
目的地を目指すのだ。
私は、書写というルートを考察し、
自身の善き生き方となる指針のような
ものを体現しようとしている。
実際、それは書写でなくても
何でもよいのだろうが、
何かしら縁あって付き合ってきた書写を
そのきっかけにしようとしている。
今ここで再度確認し、
ともすればブレやすい目的を
修正しておく。
筆写文章
ルートとして独自に評価されるもの
でなく、その頂のより魅力的な道程で
あることを忘れないでくれ。
松濤明『ピークハンティングに帰れ』より
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