筆写 ~ 菊池寛『蘭学事始』より

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人の社会というものは、

人を称賛することも好きで、

また人をそしることも好きなように

思います。

これもまた作用反作用の法則

みたいなものでしょうか(笑)

だけど、そもそも各個人において

生来的に備わっている感覚ではなくて、

それは人が作り出す社会というものに

関わって育つがゆえに生まれてくる

感覚なのかな、と私は思っています。

だけど、それが人という生き物

なのでしょう。

だから、私がこんなことを書いても、

これもまたあまり意味がないことの

ように思います(笑)。

とはいえ、です。

何事においても

「それはそういうもの」

と認識する習慣を育てると、

己(おのれ)の感情に振り回されることは

ずいぶんと軽減されてきそうです。

『その習慣を育てる』ことに

価値はありそうに思えます。

筆写文章

はじめて唱える時に当りては、

なかなか後の譏(そしり)を

恐るるようなる碌々(ろくろく)たる

了見にて企事(くわだてごと)は

できぬものなり。

  菊池寛『蘭学事始』より