筆写 ~ 中原中也『木蔭』より

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雨天、曇天が続く。

しばらく鳴き休みをしていたセミたちは、

もはやその休みを通り越してしまって

すっかり声をひそめてしまった。

ゆっくりと

夏が去ろうとしている。

筆写文章

神社の鳥居が光をうけて

楡(にれ)の葉が小さく揺すれる

夏の昼の青々とした木蔭は

私の後悔を宥(なだ)めてくれる

  中原中也『木蔭』より