筆写 ~ 豊島与志雄『天下一の馬』より

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この文章だけだと全く何のことか

分からないが(いつもそうか・・・)、

甚兵衛(じんべえ)という馬方(うまかた)が、

飢えと寒さと傷の痛みに震えていた

悪魔の子供に出会い、自分の愛馬の

腹の中に住まわせて療養させてやった、

という話。

そのお礼として、悪魔の子の力により

愛馬は十倍、百倍の力を持つ名馬に

なったという結末で、筆写文章は

この話の末尾の部分。

困っている者を助けるには

何かと勇気がいるけれど、

至ってのんき者という甚兵衛さんの

ような気質は、何よりも自分を救う

のかもしれないなぁ。

筆写文章

悪魔だからといったって、

困ってるなら泊めてやれ。

悪魔の子供を吞み込んで、

あくびと一緒に吐き出した、

天下第一の黒馬だ。

  豊島与志雄『天下一の馬』より

※ 原文の「あくび」は漢字で筆写