筆写 ~ 王維『送別』より

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横画の角度にバラつきが目立ち、

字形ももう少し美を引き出して

あげたいものもあるけれど、

自分なりに良き状態で書すことが

できた1枚。

自身に対して、丁寧に書すことを

課しているが、この『丁寧』を

貫き通して書けるかと言うと、

これはなかなか難しいものがある。

「丁寧に字を書く」

言葉では簡単に聞こえるが、

・ とにかく余計な力を抜くこと

・ 成功や失敗という念を抜くこと

・ 早く書き上げたいという念を抜くこと

例えばこういった、いわば精神的な面

に対して始終丁寧に取り組めたかどうか

ということで、その結果が仕上がりに

現れてくるものと考えている。

大げさに聞こえるかもしれないけれど、

字を書くという行為ひとつをとっても、

社会上の通念、あるいは社会の中における

自分の在り方みたいな概念によって、

気づかぬうちに自身を縛り付けている

ことは多いと思う。

そして

『丁寧さ』に真摯に向き合うことは、

その束縛や、なんとなく悪いと感じている

流れから自身を解放するための

良き方法のひとつだと考えている。

筆写文章

下馬飲君酒 問君何所之

君言不得意 歸臥南山陲

但去莫復問 白雲無盡時

  王維『送別』より