筆写 ~ 泉鏡花『草あやめ』より

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「日に日に装(よそほひ)増(まさ)る」

に続く句読点、正しくは「、」でした。

丁寧のうえに丁寧を重ねる。

丁寧を貫き通すのは

私にとって容易なことではないが、

その意識の持ち様こそを鍛錬する。

家事、仕事、心身の管理・・・

都度、『丁寧』の言葉を思い浮かべる。

そうすることで、余計な念を払い、

取り組む対象に少しでも多くの

精神を充てる。

か細い線で表現される硬筆書写などは、

特に丁寧さがその姿に現れてくるもの

だと思う。

ゆえに、己の良き精神修行になる。

筆写文章

女扇(おんなおうぎ)の竹青きに

紫の珠を鏤(ちりば)めたらん姿して、

日に日に装(よそほひ)増(まさ)る、

草菖蒲(くさあやめ)といふなりとぞ。

  泉鏡花『草あやめ』より