筆写 ~ 永井荷風『江戸芸術論』より

この画像をクリックするとPDFファイルとして拡大表示します

ほんの2~3回に過ぎないけれど、

ハラミちゃんがピアノを弾いている姿を

テレビで目にしたことがある。

普段はラジオ生活なので、

ハラミちゃんの存在や演奏を

耳で聞いたことはあったけれど、

テレビでハラミちゃんの姿を見て、

改めて私なりに感じ取れたことが

あった。

ハラミちゃんは

ピアノととても仲が良さそう。

ピアノを弾いている時は、

ハラミちゃんとピアノと

完全に二人きりの世界に浸っていて、

外界はまるで蚊帳の外だ。

ハラミちゃんとピアノの

ゆるぎない信頼感、関係、

そんなものが見えた気がする。

あのような感覚・・・

そう、あのような感覚で

ペンと紙面と仲良くなれたら、

書写の世界も

また一気に開けるのだろう。

筆写文章

浮世絵は隠然として政府の迫害に

屈服せざりし平民の意気を示し

その凱歌(がいか)を奏するものならずや。

  永井荷風『江戸芸術論』より