筆写 ~ 三好達治『筆硯枯渇』より

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10枚ほど書いて、

一番心地よく書けた一枚。

今の私が大切にしているのは、

書きあがったものを見て心地よいかどうか

ではなくて・・・

書き始めから書き終わりまで、

その書いている過程において

心地よい感覚で丁寧を通せたかどうか。

これをとても大切にしている。

ひと文字ひと文字で見ると

もっと良さげなバランスはあるのだけれど、

それを追求しすぎてしまうと

また以前の悩まし気な書写に

この私は戻ってしまう(笑)

筆写文章

油が盡(尽)きた

ランプの焔(ひ)が小さくなる

後ろの山で風が鳴る

やみなん

神安息を垂れ給ふ

萬(万)年筆のインクが凍(し)みた

  三好達治『筆硯枯渇』より