筆写 ~ 今野大力『宵の星』より

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「 自分の指は開放的に、自由に動ける 」

まるで意識せずとも呼吸をしているように、

こんな感覚が当たり前のように自己の内に

ある瞬間には、指は非常にリラックスした

状態で伸びやかな線を描いていく。

そこにわずかでも

「うまく書けるかな?」という疑念が生じると

その瞬間に指の動きは開放感を失う。

そんな状態が少ないほど

書き心地は平静としているし、

その結果として字の表情に

余裕が生まれてくると感じている。

筆写文章

庭の石に腰をかけて

鈴懸花(すずかけばな)の香をかいで

青く澄み渡った北国の宵空に

教えられたあの一つの星を探そう

  今野大力『宵の星』より