筆写 ~ 漢那浪笛『棕梠のそよぎ』より

この画像をクリックするとPDFファイルとして拡大表示します

秋は、

収穫の秋、食欲の秋、と

頼もしい反面、

自然は冬支度に入ろうとする

少し寂しい感じのする

季節でもあります。

昆虫好きの知り合いがいるのですが、

冬は寂しかろうと尋ねてみると、

「いやいや、冬には朽ちた木や

 地面の中に幼虫たちが眠っていて、

 活動が鈍る真夏よりも楽しいもんです」

と、さすがその道の人ならではだなぁと

感心したものです。

私も、少し前に目をつけた菊芋の

自生地で、花咲き終わり地上部が

枯れた頃を見計らって地中の芋が

収穫できるのを楽しみにしている

この頃です。

ついでに、河川敷の草たちが刈られ、

そのおかげで顔が見えるようになった

ノビルの球根を掘って、

昨日は久しぶりのノビル味噌を

作りました。

筆写文章

黄ばんだ一本の棕梠(しゅろ)、

痛ましく裂けた葉のそよぎ。

冷たい秋の空気にふれて、

かなしい秋、調べをきざむ。

  漢那浪笛『棕梠のそよぎ』より