筆写 ~ 喜田貞吉『炭焼長者譚』より

硬筆筆写 喜田貞吉『炭焼長者譚』より
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この文章だけを見ると、炭竃すみがまの風情を

詠っていますが、このあとには

「 などと、人の苦労も知らず・・・」

と続きます(笑)

白鳥などの水鳥も、水面上では優雅に

見えるけど、水面下では懸命に足を

働かせているなどと言われたりしますが、

まぁ、そんなことなのでしょう。

以前、炉端で野菜を販売されている、

巷で大変人気のある農家さんに

「私も、こんなことをして生きたいなぁ」

とつぶやいた初老の男性がいらっしゃい

ましたが、農家さんは

「こんなん地獄やでっ!!!!!」って

農作業の大変さをマジ顔で訴えて

いらっしゃいました(笑)

『良き』と思わせる物事の裏には

人知れずの努力や苦労があるもの

ですね。

筆写文章

真木まき立つ山の奥、檜原ひのきはらの蔭、

岩の蔭道たどたどしく、

谷深き木の間より立ちのぼりたる

煙の有様ありさま、世にたぐひなきは

炭竃すみがまの風情なり

  喜田貞吉『炭焼長者譚』より